オフショア開発の
何が課題か挙げてみよう

クライアント・ベンダー・ベトナム人スタッフが一緒になって問題解決に挑戦!

オフショア開発を行う上で課題になるのはどこなのか?クライアント・ベンダー・ベトナム人スタッフがアンカンファレンス方式で意見を出し合いました。

本記事は実際にオフショア開発に携わっているベンダーの方、オフショア開発を検討していて、成功するためのポイントやリスクが気になる方に特におすすめです。

オフショア開発を行うにあたって、日本人以外(フランジアの場合は圧倒的にベトナム人)のスタッフとのやり取りは避けては通れないものです。そうした現場だからこそ起こる「オフショア開発のあるある」といえば、次のような点が挙げられるでしょう。

  • 通信不良のため、テレカンがスムーズに行えない(ストレスがたまる)
  • 細かい言い回しが伝わらない(コミュニケーションコストがかかる)
  • ものづくりの姿勢に違いがある(「なんでそうなった!?」という場面に遭遇)

もちろん、これ以外にも思い浮かぶことがあるかもしれませんね。

しかし、一般的に、オフショア開発を担当する日本側の担当者は少数精鋭。
そのため、仕事上で感じる上記のようなモヤモヤした気持ちなどを同僚と話し合ったり、解決策をみんなで模索したり、という機会が持ちづらい現状が推察されます。

そうした声を受け、フランジアでは、日本企業のオフショア開発担当者同士が横のつながりをつくり、プロジェクトを進めるうえで感じる困りごとやその解決案を話し合ったり、これまでの経験で得たナレッジを共有したりする場を設けることにしました。
それが、「フランジア アンカンファレンス」です。

2018年2月に行われた第2回のイベントではどのようなことが話し合われたのか? 当日のレポートをご紹介したいと思います。

アンカンファレンスとは?

通常行われるカンファレンス形式では、あるテーマについて登壇者が講義形式で話すだけなので、たとえば「オフショア開発とはこういうものである」という議論に着地してしまいがちでしょう。しかし、これではオーディエンスはその知識を持ち帰って現場で活用することができない場合もあります。
その点、アンカンファレンスは、当日の参加者自身が抱えている課題や話し合ってみたいことを挙げていき、同じ課題などを抱えているひととディスカッションしたり、知識を分け合ったりすることができるので、より実践的な知恵を持ち帰ることができます。
フランジアのアンカンファレンスでは「オフショア開発」という大テーマをもとに、これを行いました。

今回のテーマは?

冒頭の説明のあと、参加者のみなさんには、それぞれ「オフショア開発をしてよかった点、悪かった点、みんなの意見を聞きたいと思うこと」を10個ほど挙げ、その中でも最も気になることを3つほど提示してもらいました。

今回のテーマを大別すると、次の6つになります。

  1. 仕様の共有
  2. タスクの管理
  3. QAと品質
  4. コストパフォーマンスの最適化・チームの生産性を常に高い状態に保つには?
  5. デザイン・UIやUXについて
  6. 報告・連絡・相談のタイミング

それでは、当日の議論をまとめてみましょう。

1. 仕様をきちんと共有するためにはどうすればいいか?

開発を進めるにあたって、そのプロダクトの仕様を共有することが最重要であることは言うまでもありません。しかし、言語の壁やSEそれぞれの理解度やスキルの差のほか、実際にオフショア開発を行ってみると次のような課題を感じることがあるようです。

課題

  • ブリッジSEに仕様が伝わっていても、QAなどにそれが伝わっていない場合がある
  • 認識のズレが発生して、求めていた成果物とは異なるものが提示される場合がある
  • やはり、言葉の壁が立ちはだかる

解決策

  • タスクを細分化してスケジュールを前倒しにし、アウトプットを一緒に見ながらレビューを行うことで大きなロスや齟齬を回避する
  • 仕様を伝える際に、テストの実施方法も伝えることで理解度を深めるように促す
  • エンジニアとではなく、QA担当者とMTGを行う。これによって、言語の壁があっても、ロジカルに仕様を理解してもらうことを目指す。
  • また、テストを想定した視点でチェックしてもらえるので仕様ミスに気付いてもらいやすくなる

2. 納期ズレを起こさない!タスクの管理とスケジュール厳守の方法は?

開発の現場にかぎらず、納期に対する感覚は、クライアントとベンダー間で異なる場合がままあるものです。また、文化的に「納期必達」を旨とする日本のスタイルとベトナムを含むその他の国々とでは、その姿勢に違いがあると考えられるかもしれません。

しかし、当然ですが、そのことを「文化性」と片付けてしまうわけにはいかないもの。本イベントの参加者のみなさんは、さまざまな工夫で「納期を守らせる努力」をされているようでした。

課題

  • 開発の進捗の中でも重要なポイントが共有されていない
  • 優先順位の認識が違っている
  • 期日直前に「できません」と言われてしまう

解決策

  • とにかく、タスクの粒度を細かくして、それぞれが遅れた場合のインパクトを最小限に留める
  • こちらから説明した内容を、相手にも改めて説明してもらう
  • 違和感があったら、即ビデオ会議

納期を守るためには、進捗の理解と把握が欠かせません。また、納期に関わるような事項について、疑問点などが浮かんできたら早期解決のためのアクションを起こしてもらうことも必須だと言えるでしょう。

そうしたことを踏まえて「オフショア開発の難しさ」を挙げるなら、日本とベトナムの間に横たわる距離や言語の問題だけではなく、最も注意すべきは「心理的ハードル」なのではないか、との意見が挙がりました。

このハードルを超えるには、「さっき話していたことだけど、うっかり詳細を思い出せなくなったからちょっと聞いてみよう」と、気軽にコミュニケーションが取れる関係性を構築することが重要です。

そのためには、Face to Faceのコミュニケーション、相手の温度感が分かるやり取りを双方が行うことが求められるでしょう。仕事の話だけではなく、近況報告や最近気になっている話題、少しベトナム語を交えてもいいかもしれません。

お互いが親近感を持った、気軽に話しかけられる関係であることは、「あれ? これって…まあいっか」と違和感をウヤムヤにしながら物事を進めることで起こる大きなミスを防ぐことに繋がる可能性が十分にあります。
このために、毎朝または毎夕の30分程度のビデオ会議を行うという担当者は少なくありませんでした。

3. 最後の砦・QAと品質をどう維持するか?

開発全体の工程の中でクライマックスとなるのがQAによるテストの実施でしょう。プロダクトがリリースされる直前の最後の砦であり、品質管理の要ともなるところです。QAのクオリティが高いほど、洗練されたプロダクトになることは間違いないのですが…やはりオフショア開発ならではの問題点はあるようです。

課題

  • 既存の案件を依頼するのは難しいと感じる
  • 自分たちが期待していたレベルではない場合がある

解決策

  • ユーザーストーリーを細かく出しすぎて、伝わりきらないこともある。そのプロダクトができた背景や経緯まで説明する必要がある
  • どこまで伝わっているか、判断することが重要。また、伝わっていないことに気付くことも大切。その場合は、言い方やニュアンスを変えて何度も説明する

ここで話が盛り上がったのは、「フランジアのQA担当者の語学力」についてです。フランジアでは、ジュニア・ミドル・シニアというように、経験に応じてスタッフがレベル分けされています。その評価では、語学力についてはこれまで問題にしていませんでした。

しかし、クライアントによると「レベルが高くなるほど、語学力も高くなるように感じる」とのこと。
確かに、最新の技術動向などをチェックしているような人材は自然と英語の能力も伸びると考えられます。となると…もしかすると、今後、スタッフのレベル分けを行う評価ポイントに「語学力」が加味されるかもしれません。

4. コストパフォーマンスの最適化・チームの生産性を常に高い状態に保つには?

オフショア開発に限らず、チームを組んで仕事を遂行するには、個人のパフォーマンスもさることながら、チームでの生産性を常に高い状態にキープしておくよう配慮が必要となります。では、それを実践するにはどうしたらいいのでしょうか?

課題

  • チームの生産性を常に高い状態に保つための工夫はどんなことが考えられるか?
  • チーム構成とその特徴や特性の議論が必要

解決策

  • チーム編成をする際に、フォーメーションごとに「ここは強い、こういった効果が見込める」といったコストではない質的な部分に踏み込んだ議論を行う
  • 個々のスキルやリソースだけではなく、チームにしたらどんな”化学反応が起こるか”を予測する
  • プロダクトのゴールに合わせて柔軟にチーム構成を変える
  • エンジニアたちが「トライ&エラー」できるワクワクするような案件やタスクにチャレンジする機会をつくる

チーム編成でどういった生産性が見込めるか、事前に予測することは難しいことでしょう。しかし、単純に工数とコストという議論だけでなく、チームとしてどのようなパフォーマンスが得られるのか、が分かれば自然と案件ごとに最適なチーム編成ができると考えられます。

また、長期の開発案件の場合などは、当初のチーム編成ではなく、入れ替えを行うことでさらに成果が上がる可能性も考えられます。
これは、フランジアとしても、今後は定期的に提案していきたいと考えるところです。

5. やはり、デザインの依頼は難しい?

UIのみならずUXを重要視し、それをデザインに落とし込むことがスタンダードになりつつある日本。しかし、ベトナムではまだまだ「UX」の概念が浸透していないという現状があります。そうした違いを超えて、デザインをより洗練されたものにするにはどうすればいいでしょうか?

課題

  • デザインの依頼は難しい
  • UXの知識、視点を共有することが不可欠

解決策

  • 似たようなプロダクトを見てもらうことで感覚で理解してもらう
  • 初回の提出物で基準を作り、イテレーションを回して精度を上げる

ここでの議論では、「開発者それぞれがUI・UXの大切さを知ってほしい」との声が強く聞かれました。実際のところ、ベトナムではUIやUXに関してまだまだ広がっておらず、その情報を得ることも難しい状態だと言わざるを得ません。
今後、フランジアベトナムのレベルアップのためにも、それらの議論が盛り上がるよう地道な活動を続けていきたいと考えています。

6. 報告・連絡・相談のタイミング

オフショア開発担当者の中には「ベトナム人はシャイでなかなか本音を話してくれない」とおっしゃる方が少なくありません。確かにそうした傾向は見られるようですが、仲良くなるととても親しげで気のいい人たちばかりです。
そうした素の部分を見せてもらうようにするには、どういったアプローチが考えられるでしょうか?

課題

  • 報告、連絡、相談が遅い
  • 相談がないまま実装してしまい、後から問題が発覚することも…

解決策

  • ブリッジSE任せにせず、エンジニアたちなど実際に手を動かしているスタッフとも仲良くなる
  • 1 on 1のコミュニケーションを積極的に行う

仕様の共有やタスクの管理でもご紹介した通り、いわゆる報連相を適切なタイミングで(なるべく素早く)してもらうためには、人間関係を密にしておくことが必須です。

たとえば、メンバーひとりひとりとしっかりと話すこともそうした関係を築く一助となるでしょう。仕事のことだけでなく趣味や最近気になっていることなどを話題にして話すことは、それぞれの考え方のクセやアラートの出し方などを知るヒントになり得るかもしれません。
言葉の壁はあるかもしれませんが、通訳を通してでも行う価値があるはずですよ。

仲良くなりはじめると、ちょっとしたつぶやきにもメンションを返してくれたり、反応を示してくれるようになるのだとか。そうなれば、同じ目標に向かって進んでいく仲間として、お互いがより楽しく仕事に向き合えるに違いありません。

ちなみに、当日アンカンファレンスに参加していたベトナム人スタッフによると、仲良くなるには、
「ベトナムにきてお酒を一緒に飲むのが一番! そして、次のステップとしては、事故などがなかったとしても毎日ビデオ会議を行うこと。『また明日!』と言えるようになりたいです」と話してくれました。
ぜひ、ご参考に!

まとめ:共通したことは次の2つ

今回のアンカンファレンスでは、6つのテーマが話し合われました。
それぞれに共通することをまとめると以下の二点になります

  • コミュニケーションの密度は濃く!オススメは「毎日ビデオ会議を行うこと」
  • 依頼に対する理解度を確認するなら、相手に説明してもらうプロセスを踏もう

現在オフショア開発を進行している方はもちろん、これから検討する方にとってもこの2つがお役に立てば幸いです。

フランジアでは、コミュニケーション問題や品質の問題など、一般的に挙げられるオフショアの課題に対して「この問題はなぜ起きるのか、それをどうやって解決するべきか」というフラットな視点で解決する努力をしてきました。

また、より理想の姿に近付けるようにPMOを設置し、プロジェクトで発生する失敗事例の収集・展開、プロジェクトのプロセス・ドキュメント標準化対応を進めるなど、日々努力を続けています。

今回のイベントでの議論もPMOに共有することで、クライアントの皆様に「一緒にプロジェクトを進行できて楽しかった!」と感じていただけるよう、糧としていきたいと考えています。


いかがでしたでしょうか?
今後も「オフショア開発のあるある」をテーマにアンカンファレンスを開催してまいりますので、ぜひ、オフショア開発に携わるより多くの方にご参加いただければ嬉しく思います。

また、「IT人材が社内にも社外にも見当たらない…。オフショア開発にチャレンジしてみようかと思うけど…」とお考えなら、ぜひ一度、フランジアにご相談ください。
これまで開発を担当したことがないという方でも「やってよかった、楽しかった!」と感じていただける濃密な機会をご一緒できればと思います!

あらためて、ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。

Framgia Journal編集部[著]