外国人とのプロジェクトチームで、成功を大きく左右するのが「コミュニケーション(=意思疎通、情報の伝達)」です。言語や文化、商習慣の異なる人達同士では、自分にとって当たり前のことが、相手にとってはそうとは限らないことが多々あります。オフショア開発において、BrSE(ブリッジエンジニア)は、クライアントと開発チームの間に立ち、双方のコミュニケーションを円滑にし、プロジェクトを成功に導くうえで重要な役割を担います。

日本語とベトナム語を通訳するだけでなく、エンジニアとして仕様や技術を理解し、時にクライアント側のPM(プロジェクトマネージャー)に代わるようなマネジメント能力も求められます。近年、オフショア開発が急速に日本で浸透した背景には、国内におけるエンジニア不足といった問題だけでなく、優秀なBrSEがいることで、日本語でグローバルチームの開発を進めることができるようになったという理由もあるかもしれません。

フランジアには、日本語資格のN1, N2レベルを取得していたり、ベトナムの国費留学生として選抜されるようなトップクラスのBrSEが多数在籍しています。創業当初に参画したBrSEのTrong(チョン)さんに、仕事内容やこだわりについて詳しく聞きました。

インタビューの内容はこちらの動画からもご覧いただけます。

BrSE(ブリッジエンジニア)に求められるもの

「システムエンジニア」と「架け橋」だけでなく、PMとしての役割も求められる

Tran Ba Trong氏
BrSEエンジニア
1990年生まれ、ベトナム出身。2008年ハノイ工科大学に入学、「日本語のできるエンジニア育成」を目的に日本政府のODAとして始まったHEDSPIというプロジェクトで2年間半ほどICTと日本語を学習。2011年、国費留学に選抜され立命館大学の情報理工学部に入学。立命館大学卒業後、ベトナムに帰国して設立間もないFramgiaへ参画。ハノイオフィスで4年間勤務後、2017年の3月より東京オフィスに異動。プロジェクトマネージャー兼BrSEとして、また社内エンジニアの教育、R&Dなど多岐にわたり活躍。

– BrSEとはどんなことが求められる仕事ですか?

Trong:僕はフランジアで社内のR&Dや教育などに関わっていますが、メインとしてやっているのはBrSEの仕事です。BrSEは「Bridge System Engineer」の略で、その名前の通りに「システムエンジニア」と「架け橋(ブリッジ)」両方のスキルが求められる仕事です。

「システムエンジニア」の仕事としては、プログラミングができるだけでなく開発プロジェクトのほぼすべてに関わり、仕様の理解・分析・基本設計・詳細設計・プログラミング・テストなどのスキルが必要です。

「ブリッジ」は簡単にいうとコミュニケーションスキルだと考えています。フランジアでは、日本側のクライアントとベトナム側の開発チームの間に立つ存在で、相互に対しベトナム語と日本語を翻訳しながら、双方から技術の相談を受けたり、仕様の確認、伝達などを行っています。

さらに、フランジアでは多くの場合、BrSEがタスクの振り分けや進捗・品質管理などプロジェクトマネジメントの仕事もやっていますので、PMの知識も必要となります。

信頼関係は「納得して理解し合う」ことによって生まれる

– コミュニケーションスキルというのは、単に通訳だけではないことも求められると思いますが、商習慣や文化の違う日本のクライアントとベトナムの開発チームとのコミュニケーションでは、どんなことを課題に感じ、解決しようと心がけていますか?

Trong日本とベトナムに限らず、同じ国の人同士でも起こり得る問題ですが、BrSEの立場として、まず両方の考え方や働き方などを理解する必要があると思います。単純に「彼らがそう思っているか」だけではなく、「彼らがどうしてそう思っているのか」その理由を理解し 、納得できないと、誰にも説得できないので課題となっていることの背景を理解することを心がけています。

例えば、クライアントから開発チームに「ボタンを大きくしたい」という依頼が来たとします。それに対して開発チームから「今より絶対見にくくなると思うので、クライアントに再確認して欲しい」と言われます。BrSEの立場としては、まずそれを積極的に受け取り、クライアントに確認したのち「確認した。それで決まったのでやっておいて」ではなく、「今回のサービスは年配の方を対象としたものなので、大きくした方が使いやすくなる」と伝達したほうが、メンバーにも納得してもらえます。

単に言われたことを指示通りにやるのではなく、「なぜそれをやるのか」を理解したほうが、納得感をもって開発でき、開発チームからのアイデアや提案も生まれやすくなります。なによりも、双方の認識をあわせることでお互いの「信頼性」が高まります。この信頼性をいかに築くか、といったことをBrSEとして常に意識しています。

「自分のサービスとして作る」という当事者意識をもってクライアントに提案していく

– 普段、どのようなチーム構成で開発していますか?

Trongオフショア開発のメンバー構成として、PM(プロジェクトマネージャー)・PL(プロジェクトリーダー)・SE(システムエンジニア)・BrSE(ブリッジエンジニア)・PG(プログラマー)・QA(テスター)・Comtor(通訳者)などがありますが、プロジェクトによって構成が変わります。

私が担当しているプロジェクトは、BrSE・PG・QAだけの構成されています。

私がBrSEとして働いていますので、SEとComtorが必要なく、その上PMの仕事も私が担っているので少数で回せます。他のオフショア会社で働いたことがないのでわかりませんが、BrSEとPMを兼任できるような人があまりいないとすれば、ここはフランジアがクライアントから評価される大きな理由といえるかもしれません。

ちなみに、上記のメンバー構成で開発するプロジェクトは、3ヶ月で終わるものもあれば、4年も続いている案件もあります。私は入社6年目ですが、正式にアサインされているのは3つのプロジェクトだけで、それぞれ2年間程度の長期案件です。


– これまで関わったプロジェクトで特に達成感を感じたものを教えてください。

Trong今年の3月に開発をスタートし数ヶ月掛けてローンチする予定だったものが、急遽4月中に公開しないといけないというスケジュールに変更になったプロジェクトがありました。私が日本にいては、開発チームとの間にコミュニケーションロスが発生し、間に合わない可能性が高いと思ったので、すぐにクライアントに「3月にベトナムに行かせて欲しい」と自ら提案をしました。急を要していたためすぐに許可がおり、3月にベトナムに行き開発チームの隣で、細かいやりとりをしながらスピーディーに開発を進めました。とても難易度の高いスケジュールでしたが、チーム一丸となって全力を尽くしたため、なんとか予定通りにサービスを公開することができました。クライアントからも評価していただき、達成感を感じました。


– BrSEとして、フランジアの強みや魅力はどんなところにあると思いますか?

TrongフランジアのBrSEは、プロジェクトマネジメントの仕事も経験でき、クライアントに対して提案する機会があることは魅力に感じます。クライアントのサービスを作っているという意識ではなく「自分のサービスとして作る」という当事者意識を持ち、サービスをよりよくするために詳細なところまで考え抜くことを大切にしている社風があるので、成長の機会があります。

また、私は「今は日本で仕事がしたい。でも5年後、10年後にはベトナムに戻って仕事がしたい」と考えていますが、将来ベトナムに戻ったときにいっしょに働いてきた仲間たちがいて、自分のキャリアもそのまま続けることができる環境があるのは、とてもありがたい話です。

日本語のキャリア形成の第一歩となったフランジアの教育事業「HEDSPI」

ベトナムで国費留学生として選抜され、立命館大学に留学

– 日本語はいつからどのように勉強してきたのですか?

Trong10年前にハノイ工科大学のHEDSPIというプロジェクトで勉強をし始めました。HEDSPIについてはフランジアのJobfairのページにも書かれていますが、簡単に説明すると2006年にハノイ工科大学で日本語のできるIT人材を育成するために日本政府のODAとして始められたプロジェクトで、2014年以降フランジアが継承し、ベトナム人の学生に日本語を習得する機会を提供しています。

HEDSPIに参加し、日本語を学び始めた最初の3〜4年は基礎は身についたもののなかなか上達せず、留学から戻った時ですらあまり上手く喋れませんでした。しかしフランジアに入社し、日本人のクライアントや仲間と一緒に仕事していく中でどんどん磨きがかかっていきました。また、音楽が好きなのでよく日本語の歌を歌っています。そのおかげで少しずつ発音やイントネーションがよくなっていきました。

アーリーステージの組織の成長に貢献でき、教育にも注力していくビジョンに共感

– いろいろな選択肢のある中でフランジアを選んだ理由はなんですか?

Trong:僕が初めてフランジアのことを知ったのは大学4年生の時でした。
当時フランジアはベトナムでできたばかりの会社でした。滋賀県の大津市に小さなインターンオフィスがあり、何回か留学先である立命館大学のキャンパスで当時のフランジアの代表の方々と話す機会があり、会社のビジョンなど様々なお話を聞かせていただいたのがフランジアに興味を持つようになったきっかけです。


創業当初の社員旅行より

卒業した後、フランジアも含め幾つかの企業からお声掛けいただきましたが、仕事の経験があまりなかった私は、「自分の強みを活かして、色々なことに挑戦できる会社に入りたい」と考えていました。フランジアでBrSEとして働けたら、日本語力とコミュニケーション能力を生かしてすぐに仕事ができるし、会社もできて間もないアーリーステージなので、組織の成長にも貢献できることを魅力に感じました。

もう一つのポイントは、フランジアが教育にも力を入れていきたいというビジョンを持っていた点です。教育に興味がある私にとって魅力的な環境でした。

実際に入社して色々なことをやらせていただいている中で、会社と共に自分自身も成長していると感じています。フランジアでは「これからやれること」がたくさんあります。

– 現在どのようなことを課題と感じ、どのように改善していきたいと考えていますか?

Trong:課題感としてあるのはやはり人材不足ですね。個人的には必要な人材を探すというよりは、そういった人材を育てることのほうが持続可能な対策だと考えています。フランジアは昔からHEDSPIのような教育に関するプロジェクトをたくさん実現していますので、結果が出たらある程度解決できるのではないかと思っています。

– 将来どんな風に仕事をしていきたいと考えていますか?

Trong:今の考えでは、近い将来については引き続きフランジアでキャリアアップしたいと思います。もっと遠い将来についてはまだ詳しい計画などはないですが、起業したいと考えています。フランジアもこれからスタートアップのプラットフォームになっていきますので、互いの繋がり維持し続けられたら嬉しいです。


単なる通訳だけでなく、技術的な背景も理解し、「なぜそれをやるのか」をきちんと説明し開発メンバーのポテンシャルを引き出す力は、オフショア開発に限ったことではなく、日本人同士の開発でも求められることかもしれません。プロジェクトマネジメントもこなせる能力の高いBrSEは、引く手あまたで人手不足な状況が続いています。フランジアでは、採用を強化していくだけでなく、数々の開発実績と知見を活かして、教育や育成にも力を入れていきます。開発に関するご相談、ご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。